迷子だろうか?
小さな子供がノヴァ大公園の一角で泣いていた。
せっかくの日向ぼっこ、かつ仕事のサボりで来たのにとンギャンは尻尾をピンとまっすぐに立てて不機嫌さを表した。
ただそのままにしておくと、それはそれで厄介なことになるかもしれない。面倒臭いが声をかけて解決するのが早そうだった。
「……おいおみゃあ、そこの子供くんよ」
「ひぐ、ぐす……、…?」
「もしも迷子なら人が多い所まで案内してやろうと思ったんだけど、どうだかにゃあ?」
そう問いかけると目から大粒の涙を流す子供が潤んだ瞳で頭上で声を出したオレの方を見上げたあと、視線を下に下にズラして「ねこちゃん…」とこぼした。
「んーあー、ネコっつーのは、テレストがいう小さい生き物のことだよにゃあ……んん〜まぁそう、ねこちゃんだにゃあ怖くないぞオレ〜」
「ぐす、んふ、ふふ、ねこちゃんは怖くない」
ねこちゃん “は”、って言うとなんか怖いELでも見たのだろう。まぁ色んな惑星から色んなヤツきてるもんにゃあと思考したがそのまま返答に数秒考えていると、子どもはオレの足元をくぐる。
「ねこちゃん大きいね」
「まー地面から頭のてっぺんまで2mあっから、おみゃーよりはでかいよにゃー」
「ねこちゃんの足、大きな門みたい、さっきも通ったの大きいな門。こわいのいてお母さんとはぐれたのも、そこなの」
門、あぁなるほど。そこなら思い当たる観光地があった。
「んじゃあ、まぁ、ねこちゃんが案内してやるから背中に乗れよにゃあ」
さっさと届けてオレはまた日向ぼっこするんだにゃあ、とこぼすと「ありがとねこちゃん」とお礼を言われ、乗せた背中がむず痒くなった。